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paper sky

趣味で図画工作をするじむいんのweblogです。

マスターピース

10年間住んだ町を出て行こうとしているところ。

 

私は引っ越しがとても好き。新しいまちに住むのはわくわくする。

そうして、引っ越しの仕事量、容赦なく捨てる荷物、下がり続ける判断力、なんかで、ハイになる感じも好き。引っ越しハイ、now、です。

 

この町に越してきたのは20歳の時だった。

 

 20歳の4月、雪の残る北海道の町を起ってここにやってきた。それから思いがけず10年も過ごしてしまった。20歳から29歳のおわりまでの10年間、まるごと20代がこの町に閉じ込められてある。

 

「20代は、人生で一番素晴らしい時代だよ」

 

ということを、私はこの10年間にたくさんたくさん言われた。女のひとの20代は一番いい季節だね。なんて。

なんて酷い呪詛だろうと思っていた。

今が一番ピークだからここからどんどん価値が下がっていくに違いないよ。今はいい気でいられるけど今だけだよ。そんなことはない、私は美しくない。いい気分にもなれなくて、何も無さに気が遠くなる。まだ何もできていない。20代が人生のマスターピースなら、私の人生は何も無いじゃないか。そう思っていた。

 

どうしてそれを信じちゃってたんだろう。

20代は人生のピークじゃない。人生は長いのだ。老いることは獲得することでもある。判断基準となる経験を。落ち着きを。20代が輝いていないから何だって言うんだろう。若さは消費されるためのものじゃない。他人から見た価値なんて関係ない。20代はマスターピースじゃない。

20歳で決めた人生が続いていくと、先生は何故決めつけていたのですか?

29歳の私は幼児で、恐ろしいことも届かないことも初めて出会うことも無限にあるだろう。20年やそこらで慣れきってしまえるほどに人生が平坦だなんて、思えようもない。何をどう考えても何もかもこれから。

 

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