paper sky

マンガ作家、コジママユコのweblogです。

わたしに心があることは秘密だから小さな声で語ろう

「AIに人権は必要だと思う?」

ある日友人とそんな話をしていた。わたしは彼の問題提起がわからなかった。AIって詳しくないけど、人工知能のこと?商品をレコメンドしたりカスタマーサポートをしたり、高い情報処理能力を生かして煩雑な事務作業に役立つだろうと言われている、あれのこと?そう、そのことだと彼は言う。人工知能は情報処理能力がすぐれているだけではなくて、自己学習をするのだという。それによって人間には思いもつかない推論をしたり、解決されていない問題の解決方法を導き出すのだと。

「それはもう、機械じゃなくて、例えば人間の子供のように独立した存在だとみなすことができるわけだよね。そういうものに対して人権が必要なんじゃないかっていう議論があるらしいよ」

私はますますわからなくなってしまった。だって機械じゃない。独立した存在とみなしたとしてもそれは「見立て」であって、だったら俺のアニメヒロインには何故人権がないのかとか、私のぬいぐるみは何故人権がないのかとか、そういう話になってしまう。「それは人間らしい振る舞いをするものに対する生命の見立てであって、法的に権限を与えていい根拠にはならないよ。」と私は答えた。そもそも人権が付与される「個人」は社会的な用語だし、責任の主体の単位ってだけの話だから、社会的責任を負えないAIは個人ではないのでは、という話もした。そう、機械は責任も果たせないし、魂もないし…。魂?

 

さて、魂の根拠とはどこにあるのだろうか?

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秋に住む

大雨が上がった後の夕方、乗せてもらっていた車で母校の前を通ったとき、

後部座席の窓から見えた日差しや葉っぱの影が完全に10年前で、

その瞬間だけわたしの気分は学生にもどってしまった。

学生時代はいつもこんな秋の中に住んでいたような気がする。

課題のアイディアがでなくてふらふら散歩していた時も

制作の合間に友達と初めてコンビニおでんを食べた時も

いつもずっと秋の中にいた気がしてならない。

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